北陸は日照率が特に悪い地域です。北陸に住むほとんどの人が曇天の北陸に太陽光発電は向いていないと感じていると思います。
では、太陽光発電が適している地域はどこでしょうか?
この記事では日本で太陽光発電に向いている都道府県をランキング別に示した上で、北陸地方が本当に太陽光発電に適してないのかを検証していきます。
都道府県別・発電量の比較
太陽光発電システムの電気量が全国的に見てどの程度なのか、まずは見てみましょう。
以下に、都道府県ごとの発電量実績(1キロワットあたりの年間平均発電量)を一覧にまとめました。地域ごとの発電ポテンシャルが確認できます。
順位 |
県名 |
平均発電量 (kWh) |
平均稼働率 (%) |
ここでご紹介しているデータは、全国の太陽光発電設置住宅の発電状況を集計した「ソーラークリニック」というサービスのデータを基に算出したものです。対象期間は2013年3月から2014年2月までの1年間で、1690件の実測データを使用して各都道府県の平均発電量を計算しました。
パネルメーカーが提供する日射量を基にしたシミュレーション結果とは異なり、今回のデータは実際の利用者から提供された数値を基にしたものです。そのため、よりリアルな実測値として参考になります。
都道府県別の太陽光発電量ランキングを活用した北陸地方の比較分析
北陸地方における太陽光発電の現状を、具体的なデータをもとに見てみましょう。まず、都道府県別の太陽光発電量ランキングでは、北陸地方の石川県は36位(1,124kWh、12.83%)、富山県は42位(1,076kWh、12.28%)、福井県は38位(1,108kWh、12.65%)という結果になっています。これに対して、全国平均は1,234kWh、稼働率14.09%です。
確かに、北陸地方は全国平均を下回っており、特に山梨県(1位)の1,436kWh、稼働率16.39%と比べると大きな差があることがわかります。山梨県は晴天が多く、日照時間に恵まれていることが高い発電量を支える要因といえるでしょう。一方で、北陸地方は冬場の降雪や曇天の多さが発電効率を下げる原因になっていると考えられます。
それでも、北陸地方のデータを改めて見ると、石川県の1,124kWhや福井県の1,108kWhといった発電量は、極端に低い数値ではありません。全国ランキングの上位県には届かないものの、12%台の稼働率は安定しており、「北陸でも太陽光発電が可能である」ことを示しています。
つまり、日照条件が厳しいと言われる北陸地方でも、適切な設置場所の選定や発電効率の高いシステムの導入を工夫することで、太陽光発電を活用する余地は十分にあるのです。このデータから見えてくるのは、北陸地方における太陽光発電は「不可能ではない」という事実です。次に、その可能性をさらに広げるための課題や解決策について見ていきます。
意外と発電できる事実
北陸地方と聞くと、「日照時間が少なくて太陽光発電には不向き」と思う方も多いかもしれません。しかし、実際には北陸でも晴天時には他の地域に引けを取らない発電量を記録することがあります。
例えば、石川県内で晴天が続いたある月のデータでは、稼働率が15%を超えるケースも見られ、全国平均の14.09%を上回る成果を挙げた例も報告されています。こうした結果は、北陸の気象条件に適応した最新の太陽光パネル技術によるものです。
特に注目されるのが、低照度でも効率的に発電できるパネルの普及です。従来型のパネルでは曇りや薄日で発電量が大きく落ち込むことが課題でしたが、現在では弱い光でも電力を生成できる製品が開発されています。この技術革新により、曇天が多い北陸地方でも安定した発電が期待できるようになりました。
また、設置方法やパネルの角度調整によっても効果を上げることが可能です。例えば、雪が降った場合でも迅速に除雪が行える角度や配置にすることで、発電効率を維持することができます。これらの工夫によって、北陸地方は「意外と発電できる地域」としての可能性を示し始めています。
晴天が少ないからといって太陽光発電をあきらめるのではなく、地域の特性に合わせた対策を講じることで、十分に成果を上げられる可能性があるのです。
地域ごとの発電量を地図でチェック
日本の発電量マップ
地域ごとの発電量の違いを一目で確認できるよう、視覚的にわかりやすい発電量マップです。
このマップは、ソーラークリニックに登録された1995年から2009年までの15年間のデータを平均化したものです。
主な傾向として、北に行くほど発電量が少なく、南では発電量が多い傾向が見られます。また、雨が多い太平洋側よりも、内陸部で発電量が高い地域が多いことも特徴です。
北陸地方においても日照率が悪いから、太陽光発電に適しないというよりは全国的に見て平均的に発電する地域と言っていいでしょう。
その他の気づきとしても、北海道は都道府県別ランキングで上位に入ることは少ないものの、地域によっては太陽光発電に非常に適しているエリアも存在します。特に梅雨がなく、夏も涼しい気候は発電ロスを抑えるため、メガソーラー開発事業者にとって魅力的な土地とされています。同様に、他の都道府県でも地域差が発電量に影響を与えるケースは少なくありません。
南に行くほど発電量が多い?単純ではない実態
「沖縄のような暖かい地域は太陽光発電に向いているはず」と考える方も多いでしょう。実際、南部地域は日射量が多いことから、北陸より九州の方が発電量が高い傾向があります。
ただし、太陽光発電の発電量は緯度の違いだけで決まるわけではありません。例えば、長野県は九州や沖縄よりも緯度が高いにも関わらず、日本で2番目に多くの発電量を記録しています。その理由として、以下の点が挙げられます:
- 年間を通して降水量が少ない
- 夏場の気温上昇が抑えられ、発電効率が損なわれにくい
- 標高が高い地域が多い
このように、発電量の多寡は気候や地形の影響も大きいのです。
都道府県別一覧や発電量マップで芳しくない数値が示されている場合でも、天候や地域特性を細かく分析することで、思いのほか良好な発電量が得られるケースも少なくありません。
まとめ
北陸地方における太陽光発電の総括として、まず、発電量は全国平均よりもやや低めですが、特定の条件下では十分に実用的な選択肢となり得ます。北陸地方に位置する石川県、富山県、福井県は、発電量ランキングで全国の中でも比較的低い順位に位置しています。特に冬季には雪や曇りが多く、発電量が減少する傾向があります。これにより、太陽光発電の効率が低下することが懸念されます。
しかし、北陸地方においても、設置方法や条件次第で十分に発電量を確保することができます。
また、太陽光発電は地域特有の季節変動にも対応可能で、特に春や秋は安定した発電が期待できるため、年間を通して一定の発電量を見込むことができます。冬季の発電量減少に対しては、発電量を補うために他のエネルギー源との併用や、蓄電システムの導入を検討することで、より安定的にエネルギー供給を行うことができます。
総じて、北陸地方での太陽光発電は、地域特性をよく理解した上での設置計画が鍵となります。適切な設置方法を選び、最適なパネルを選定することで、発電効率を最大化し、雪や曇りの影響を最小限に抑えることが可能です。
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