太陽光パネルの営業には、信頼できる業者もいれば、注意が必要な業者もいます。
その違いをしっかり見極めることが大切です。
この記事では、太陽光パネルの悪質な営業トークの事例や、信頼できる業者を見分けるポイントについて解説します。
太陽光発電の訪問販売が増加している理由とは?
近年、太陽光発電の訪問販売が増えており、特に屋根が大きく日当たりの良い家は頻繁に営業を受けることも少なくありません。その背景には、時代の変化に伴う需要の高まりがあります。ここでは、その主な理由を3つに分けて解説します。
1. 電気代の高騰
電気料金の上昇が、太陽光発電への注目を集める一因となっています。燃料費の高騰により、電気代が以前よりも大幅に上がっている家庭も多く、電気代の削減は多くの人にとって重要な課題です。
例えば、日本経済新聞の報道によると、2023年5月には電気料金が441円~579円値上げされるとのこと。中には1か月の電気代が5万円以上かかったケースも報告されています。これにより、エネルギーコストを抑える手段として、太陽光発電が注目されるようになっています。
2. 災害時の備え
地震や台風といった自然災害への対策として、太陽光発電を導入する家庭が増えています。2011年の東日本大震災以降、防災意識が高まる中、南海トラフ地震のリスクを懸念する声も多いです。
太陽光発電を設置することで、停電時でも太陽が出ている時間帯は電気が利用できるため、災害時の備えとして有効です。現代の生活に欠かせないライフラインである電気を確保したいというニーズが、この需要を後押ししています。
3. 政府や自治体の推奨
カーボンニュートラルを目指した取り組みの一環として、政府や自治体が太陽光発電の普及を後押ししています。導入時の費用は高額ではあるものの、国や地方自治体が補助金制度を設けているため、以前よりも初期費用の負担が軽減されるケースが増えています。
さらに、製品価格の上限を設定する補助事業も多く、消費者にとっては導入のハードルが下がっています。加えて、太陽光発電システム自体の価格も安定してきており、導入を検討する人が増えている状況です。
太陽光パネルの営業トラブルの実態とは?事例を交えて解説
太陽光パネルの普及が進む一方で、営業によるトラブルの相談件数も増えています。
過去の相談件数推移(資源エネルギー庁より)
年度 | 相談件数 |
---|---|
2013年 | 4,630件 |
2014年 | 4,267件 |
2015年 | 3,368件 |
2016年 | 2,866件 |
2017年 | 2,925件 |
2018年 | 2,930件 |
2019年 | 2,420件 |
2020年度には、太陽光パネルの営業や契約に関する相談件数が約3,000件にも達しました。
相談内容の多くは、「訪問販売」や「電話営業」による強引な売り込みに関するものです。
主な相談事例
- 「電気代がかからなくなる」と説明された
- 「売電収入で元が取れる」と言われた
- 「設置が義務化される」と急かされた
これらは、メリットや緊急性を強調して契約を迫る典型的な手口です。
デメリットを説明しない業者や、シミュレーションを行わない業者には特に注意が必要です。
太陽光パネルの怪しい営業トーク4選とその特徴
太陽光パネルをめぐる怪しい営業トークには、次のような言い回しがよく使われます。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
①「今なら0円で設置できます」
モニター商法を装ったこの手口は、高額請求に繋がるケースが多いです。
「無料で設置できる」と言いつつも、実際には高額な工事費や運搬費などが追加されることがあります。
安易に契約せず、慎重に検討しましょう。
②「メンテナンスは不要です」
「メンテナンスがいらない」という説明をする業者には注意が必要です。
2017年施行の改正FIT法では、住宅用太陽光パネルの定期メンテナンスが義務化されています。
4年に1度の点検を怠ると売電ができなくなるため、このような営業トークには惑わされないようにしましょう。
③「売電収入で儲かります」
「売電で儲かる」と言われると魅力的に聞こえますが、実際には注意が必要です。
売電収入が高いのは設置後10年程度で、それ以降は収入が大幅に減少します。
収入だけで利益が出ると強調する業者は信用しない方が賢明です。
④「今だけの限定割引です」
「期間限定の特別価格」という営業トークで急かしてくるのも怪しい手口です。
この方法で契約を急がせ、結果的に相場以上の費用を請求されることがあります。
焦らず、冷静に対応しましょう。
信頼できる太陽光パネル業者の見分け方
太陽光パネルを安心して利用するためには、信頼性の高い業者を選ぶことが大切です。ここでは、その具体的な特徴をわかりやすくまとめました。
屋根の状態をしっかりと点検してくれる
優良な業者は、現地調査を通じて「屋根の形状や劣化具合」を丁寧に確認し、適切な見積もりを提示してくれます。
一方で、悪質な業者は調査を省略し、数分程度で金額を提示することがあります。
- 現地調査には1~1.5時間ほどかかるのが一般的。
- 屋根材の種類や大きさを確認することで、パネルとの適合性や雨漏りのリスクを防げます。
現地調査が丁寧な業者を選ぶことが重要です。
資格を持ったスタッフがいる
太陽光パネルの設置には専門知識が必要です。以下の資格を持つスタッフが在籍しているか確認しましょう。
- 電気工事士
配線ミスや故障のリスクを減らすために必須の資格です。 - メンテナンス技士
専門的な点検や修理を行うスキルを持っています。
資格を有するスタッフがいない業者の場合、設置後のトラブルに対応できない可能性が高いため注意が必要です。契約前に過去の施工実績やスタッフの資格を確認することをおすすめします。
充実した保証とアフターサービス
信頼できる業者は、手厚い保証とアフターサポートを提供しています。
- メーカー保証に加えて、業者独自のサービスを用意している場合も。
- 保証期間中なら、無償での修理や交換が可能。
反対に、悪質な業者は保証やサポートを提供しない場合があります。契約前に、保証内容についてしっかり確認しましょう。
飛び込み営業をしない
良心的な業者は、事前予約や問い合わせを通じて訪問を行い、無断での訪問やしつこい勧誘をしません。
- 訪問前に電話やメールでアポイントを取るのが一般的。
- 顧客との信頼関係を重視し、丁寧な対応を心がけています。
一方で、悪質な業者は突然訪問して高額な契約を迫る場合があるため注意が必要です。信頼できる業者を選ぶ際は、無料相談の利用やスケジュール調整が可能な点を確認しましょう。
太陽光パネル営業の注意点を徹底解説
太陽光パネルの購入を検討している方が悪質な営業に引っかからないためのポイントをまとめました。これらを参考にして、信頼できる業者を見極めましょう。
名刺や資料を提供しない業者には要注意
悪質な業者は、名刺や提案資料を渡さないことが多いです。
これには、自分の身分を隠したい、もしくは資料の内容に信ぴょう性がないことを隠したいという意図が含まれている場合があります。
一方で、信頼できる業者は、後からじっくり確認してもらえるよう、名刺や詳しい資料を必ず提供します。突然訪問してきた場合でも、営業者の名刺を受け取り、目的や内容をしっかり確認しておきましょう。
大幅な値引きには注意が必要
「契約しないなら値引きします」といった大幅なディスカウントを提案する業者には注意が必要です。
太陽光パネルの価格相場は 1kWあたり26.1万円 とされています。たとえば、4~5kWのシステムなら 104.4万~130.5万円 が目安です。
相場を大きく下回る価格を提示された場合、後から追加費用が発生する可能性もあるため、安さだけで判断しないようにしましょう。
保証やアフターフォローを説明しない業者
信頼できる業者は、太陽光パネルやパワーコンディショナーに対する保証内容をきちんと説明してくれます。
特に保証期間内であれば、部品の交換や修理が無料で対応されることが一般的です。また、多くの優良業者は施工時の不具合をカバーするための「工事瑕疵保険」に加入しており、万が一の雨漏りなどにも対応可能です。
一方、悪質な業者は保証内容を曖昧にするか、そもそも保証自体がない場合もあります。契約前に必ず保証の有無を確認しましょう。
メリットだけを強調する提案
メリットばかりをアピールし、デメリットについては一切触れない業者には注意が必要です。
設置費用が高額であることや、定期的なメンテナンスが必要な点など、太陽光パネルには欠点も存在します。信頼できる業者は、これらのデメリットも正直に説明してくれます。
長期的に満足できる選択をするためにも、メリットとデメリットの両面をしっかり確認しましょう。
強引な契約には毅然と対応
強引に契約を迫る業者も少なくありません。
たとえば、「契約するまで帰らない」と言い張るケースや、高圧的な態度で契約を急かす行為です。こうした場合は冷静に対応しましょう。
対処法:
- 「立ち退きに応じない場合、警察を呼びます」と伝える
- 実際に警察へ電話するフリをする
万が一、契約してしまった場合でもクーリングオフ制度を利用すれば解除可能ですので、慌てずに手続きを進めましょう。
太陽光パネルの営業トークを断るコツ
太陽光パネルの訪問営業に悩んでいる方に向けて、上手に断る方法をまとめました。以下の内容を参考にして、しっかり対応しましょう。
会社名を確認する
訪問業者に対してまず行うべきことは、会社名を確認することです。
会社名を伝えない行為は違法であり、これを利用して毅然と対応することが可能です。
- 名刺や社員証を見せてもらうよう依頼する。
- 口頭で会社名を名乗られた場合は、スマホで検索して確認する。
もし名乗った会社名が存在しない場合、業者に対して不信感を示し、その場で断ることができます。
太陽光パネルの基本知識を持つ
事前に太陽光パネルに関する知識を備えておくことで、営業のトークに流されにくくなります。
- 節電や売電の効果をシミュレーションしてみる。
- 1kWあたりの相場価格を把握しておく。
- 保証内容について調べておく。
これらのポイントを押さえるだけで、悪質な営業に対して冷静に対応できるでしょう。
「いらない」と明確に伝える
相手に隙を与えないことが重要です。無料であっても、「必要ない」と断る意思をはっきり示しましょう。
- 言い訳や曖昧な表現を避け、短い言葉で明確に断る。
- 相手の話を深く聞かず、断るタイミングを逃さない。
居留守を使う
訪問販売員に対応するのが苦手な場合、玄関を開けずに居留守を使うのも効果的です。
- 相手と直接顔を合わせないことで、営業トークを聞かずに済む。
- 会話の機会を遮断することで、うっかり契約してしまうリスクを防ぐ。
太陽光パネルを購入してしまったときの対処法
しつこい営業に負けて契約してしまった場合も、冷静に対処すれば問題を解決できます。
クーリングオフ制度を利用する
契約日から8日以内であれば、クーリングオフ制度を利用して契約を解除可能です。
- 契約書の日付を確認する。
- 速やかに手続きを行う。
消費者センターに相談する
8日を過ぎた場合でも取り消しが可能なケースがあります。消費者センターに相談し、具体的な対応方法を教えてもらいましょう。
営業が来る家は設置に適している?
実は、太陽光パネルの営業が来る家は、設置に向いている可能性が高いといえます。訪問されること自体をネガティブに捉えず、前向きに検討してみるのも一つの手です。
信頼できる業者を選ぶ
営業を受ける場合でも、複数の業者から見積りを取り、比較検討することが大切です。
- 価格や保証内容をしっかり確認する。
- 対応が誠実で安心できる業者を選ぶ。
営業に対する正しい知識を持ち、冷静に判断することで、トラブルを避けつつ満足のいく選択ができるでしょう。
まとめ:太陽光パネル営業への対処と賢い選択
太陽光パネルの訪問営業は、誰もが一度は直面する可能性のある問題です。しかし、今回紹介した方法を実践することで、不安やトラブルを軽減することができます。
- 営業トークには毅然とした態度で臨み、必要に応じて法律を活用する。
- 事前に基本的な知識を備え、冷静に対応する。
- 必要がなければはっきりと断り、無理に対応しない姿勢を示す。
一方で、訪問が来ること自体が設置に適しているサインでもあります。太陽光パネルに興味がある場合は、複数の業者を比較して、信頼できる業者を慎重に選びましょう。
営業の話を鵜呑みにせず、自分で調べて納得した上で判断することが、後悔しない選択につながります。適切な対応を心がけ、快適な暮らしを実現してください。
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